彼女の世界
 いつからだろう、君の視界からボクが消えたのは。
 いつからだろう、君の世界からボクが消えたのは。
 存在を許さない君。
 存在を許されないボク。
 背を向ける君を見続けるのはつらいから
 ボクが君に背を向けたその季節。
 

 突然君は変わった。何の前触れも無く。
 気づいたら独りだった。何の不自然さも無く。
 痕跡は跡形も無く。存在していたのかさえ疑わしいくらいに。
 確かに存在したはずの共有した時間。空間。そして、友。
 めまぐるしくもあり、緩やかでもあった君との過去。
 そのすべてが無に帰したように。何もなくなった君とボクとの間。
 永遠に繋がることのなくなった君との世界に
 ボクは今別れを告げよう。
 ボクの頭上(うえ)には青い空。ボクの足元(した)には彼岸花。
 涙を流したあの季節。




−END−
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